生物科学プログラム Program of Biological Science
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生物科学プログラムは、生物の複雑な構造と体制の維持に不可欠な情報伝達の機能的な連関を解明することを教育・研究の基本理念としています。私たちは、生命現象についての理解を深め、生命の普遍性と多様性について主体的な学習を通じて洞察することができる人材を育成するために、教育・研究活動を行っています。
カリキュラム
現代の生物科学では、生命体自体とその周囲の環境に関するさまざまな研究が日々進展しています。生命現象の多様性を理解するためには、生物学だけでなく、数学、物理学、化学、地学そして環境科学などの自然科学の基礎知識と、生命に関連する他の科学領域に関する幅広い教養が必要です。
生物科学プログラムに配属された2年次以降は、1年次で学んだ理学の広範な分野を基礎とし、専門的な講義と実験を通じて生物学に関する専門知識と技術を修得します。これらの学習を経て、分子レベルから生態レベルまでを専門とする個性豊かな教員の指導のもとで、卒業論文研究に取り組みます。研究活動を通じて、より専門的な知識と技術を習得し、大学教育の集大成を迎えます。
分野紹介
多様性と進化を対象とした生物学領域
自然界では、生物は単独ではなく、同種他個体や他種生物、気候や地形などの様々な環境要因による影響を受けながら存在しています。本領域では、生物間、あるいは生物と環境との間にある相互作用の実態や、成立に関わる因子の解明を通して、生物進化の理解を目指した研究を行っています。微生物や昆虫、植物、魚類、両生類、鳥類、哺乳類など様々な生物が対象です。
<研究分野>
共生生物学、応用昆虫学、進化生物学、進化発生学、分子生態学、保全生物学
<教員>
土`田 努 准教授 / 前川 清人 准教授 / 山崎 裕治 准教授
植物を対象とした生物学領域
植物の多様な生命現象の解明は、生物多様性の保存や持続可能社会の実現に必要とされる科学技術の発展を支える礎として欠かせません。本領域では、植物を研究対象に様々な視点から、種々の研究手法を用いて学生とともに研究に取り組んでいます。植物の葉や根などの器官形成、植物組織および細胞レベルでの形態形成のしくみ、有用植物の成分や栽培特性の制御機構、環境が植物の生活環に与える影響、植物の病害抵抗性のしくみ、生殖様式の違いに基づく植物の種分化など、様々な重要課題の解明を目指し、遺伝子から個体群レベルまでを対象に幅広く教育研究を行っています。
<研究分野>
植物分子生物学、植物形態学、植物生理学、遺伝育種科学、植物細胞生物学、植物病理学、宇宙生物科学、植物細胞分類学
<教員>
唐原 一郎 教授 / 若杉 達也 教授 / 玉置 大介 講師 / 山本 将之 講師 / 佐藤 杏子 助教
動物の生得的行動や浸透圧調節を対象とした比較内分泌学・動物生理学・神経行動学領域
魚類や両生類において、内分泌系や神経系により生得的行動(摂食行動、情動行動および生殖行動)や体内浸透圧などが調節・最適化されています。本領域では、これらを支える中枢や末梢におけるホルモンや神経伝達物質およびそれらの受容体を介した情報伝達機構と作用メカニズムの解明を目指し、モデル動物としてキンギョ、ゼブラフィッシュ、メダカ、ツメガエルなどを用いて生得的行動の解析、関係遺伝子の発現解析、脳内神経基盤の形態学的観察、細胞内情報伝達系の解析、病態の発症機序・進行過程の解析などを通して個体レベルから分子レベルに至る実験を行っています。また、国内外の大学や研究所と連携した国際共同研究も展開しています。
<研究分野>
比較内分泌学、神経行動学、動物生理学、薬理学、神経科学、病態生理学
<教員>
松田 恒平 教授 / 今野 紀文 講師 / 中町 智哉 講師
動物の概日リズムや睡眠覚醒行動を対象とした神経・細胞生物学領域
睡眠覚醒、摂食、体温など多くの生理機能は、脳の生体時計機構の支配下に、恒常性が維持されています。本領域では、これらの基礎的で重要な生理機能の概日リズム調節に係わる神経メカニズム解明を目的に、遺伝子発現や神経活動記録、細胞内シグナル解析、脳波解析、行動量測定などの手法を用いて、細胞から個体レベルの研究を行っています。ラット・マウスなどのげっ歯類や、ショウジョウバエ、さらに培養細胞を対象とした実験が中心です。
<研究分野>
時間生物学、神経生理学、睡眠科学、行動薬理学
<教員>
池田 真行 教授 / 森岡 絵里 講師
学生メッセージ
TOPICS
葉のない寄生植物はどのようにして適切な時期に花をつけるのか?
若杉 達也 教授
植物の多くは特定の季節に花を咲かせます。そのような季節ごとの開花には、日長に応答して花芽を形成する仕組みが関わっています。日長に応答して花芽を形成する性質を光周性といい、長日条件で花をつける植物を長日植物、短日条件で花をつける植物を短日植物といいます。
生きている化石「肺魚」から知る脊椎動物の進化
今野 紀文 講師
肺魚は、その名の通り肺を持った魚です。4億年もの昔(デボン紀)から現在まで、その形態的特徴を残しながら生き続けている「生きている化石」として知られています。肺魚類は系統学的にも両生類に最も近縁な魚類であり、魚類から両生類への進化を理解する上で重要な生物です。
ゼブラフィッシュの脳梗塞モデルに対するヒトの脳梗塞治療薬の有効性の検証
善端 大貴さん
2021年12月4~5日に行われた日本動物学会 令和3年度中部支部大会において大学院理工学教育部 生物学専攻 修士課程2年の善端さんが大学院生発表 優秀発表賞を受賞しました。
教員と研究テーマ
体内時計や睡眠発現にかかわる神経機構について研究しています。
植物組織の形態形成の仕組みとその環境応答について、各種顕微鏡を用いた形態学的手法により研究しています。
小型魚類の生得的行動(摂食行動・情動行動)を制御する脳ホルモンについて研究しています。
植物の葉や根の形成について遺伝子レベルから研究しています。
植物-昆虫-微生物間の共生現象の分子基盤と、共生機能分子を標的とした害虫防除法を研究しています。
社会性・食材性昆虫の分子系統や進化生態を研究しています。
野生動物の進化や生物多様性の保全について研究しています。
脊椎動物の多様な環境適応に関わる内分泌制御機構について研究しています。
紡錘体の形成・維持機構と病原糸状菌に対する植物の侵入抵抗性について研究しています。
モデル動物(主にゼブラフィッシュ)を用いて神経ペプチドによる行動・生理現象制御機構について研究しています。
キイロショウジョウバエの行動リズム制御にかかわる分子機構について研究しています。
油糧作物のゴマを材料に、成分や栽培特性などの有用形質を制御する遺伝子について解析を行っています。
日本列島を中心とした東アジアの生物を対象に,集団史や適応進化の研究を行っています。
染色体の観察を通じて、植物の種分化のしくみと分類について研究しています。
記憶や情動といった高次脳機能がどのような仕組みで作られ制御されているのか、マウスを使って、主に体内時計や睡眠による影響の観点から研究しています。
マウスを用いて、概日時計がどのように行動を制御するのかを、神経科学や生理学的な見地から研究しています。