教員と研究テーマ

山崎 裕治 准教授

野生生物の遺伝子解析と生態調査

「フィールドからDNAまで」を合言葉に、生物多様性の解明と保全を目指した研究を行なっています。

 山崎研究室では、「生物多様性の変動機構の解明と保全」を研究目標として、生物多様性の現状やその変化(進化、種分化、絶滅など)に注目した研究を展開すると共に、今ある生物多様性を将来に引き継ぐための保全活動に取り組んでいます。これら目標を達成するために、高山帯から深海域までの多彩な環境を持ち、日本の縮図とも呼ばれる富山県を主なフィールドとして、その中で育まれている高山帯のライチョウ、野山を駆け回る哺乳類、水田生態系の魚類など、多様な生物を対象としています。そして、「フィールドからDNAまで」を合言葉に、現地調査(フィールド)における生態調査や、目には見えない特徴を解き明かす遺伝子解析(DNA)に注目した研究を展開しています。

  • 高山生態系
  • 山地生態系
  • 水田生態系
高山生態系における生物の適応と存続性

高山帯には、低い気温、薄い酸素、強い紫外線など、過酷な環境が広がります。しかしそこには、高山帯固有の生物が織りなす、独自の生態系が形成されています。そのような生物の代表がライチョウです。ライチョウは、過酷な環境にどのように適応し、生きながらえてきたのでしょうか。

山崎研究室では、高山帯におけるフィールド調査と、そこで得られた遺伝子試料を用いた分析を行い、高山帯に生息する生物がもつ進化や適応の歴史を探ると共に、将来の存続性を保つために必要な環境を探る研究をしています。

研究対象生物は、ライチョウの他、哺乳類(キツネなど)、両生類(ヒキガエル、クロサンショウウオなど)、昆虫類(ミヤマモンキチョウなど)など多岐にわたります。

山地生態系における哺乳類の生息適地と生物間相互作用

島国の日本列島には、多くの山々が連なります。そこには、実に多種多様な生物が生息しています。そのなかでも哺乳類は、山地生態系における中心的な役割を担っています。山地生態系において、哺乳類たちはどのような関係を持ちながら生活しているのでしょうか。

山崎研究室では、フィールド調査やリモートセンシング技術に基づき、山地生態系において哺乳類が好んで利用する環境条件の解析を行なっています。また、遺伝子解析により哺乳類の個体識別、家系判別、集団構造、そして分布域形成パタンを調べています。さらには、これら情報を総合的に活用して、生物間相互作用の解明を目指した研究を展開しています。

研究では、シカ、イノシシ、キツネなどの在来哺乳類の他、アライグマなどの外来哺乳類も対象としています。

水田生態系における希少生物の保全

水田は、お米をつくるだけではなく、人間の手が加わることで成立する二次的自然として、多くの生物を育んでいます。そこには、メダカやカエルが生息するだけではなく、希少生物のイタセンパラなどのタナゴ類や、その餌となるミジンコ、卵を産むための二枚貝など、多くの生物が共存しています。

山崎研究室では、イタセンパラやその共存生物の保全を目的として、フィールド調査による生物相調査、餌資源調査、そして環境調査を行なっています。同時に遺伝子分析を行うことにより、生物の河川内利用パタンや存続性を調べ、希少生物の保全を目指しています。

研究対象生物は、イタセンパラをはじめとした魚類、カエルやサンショウウオなどの両生類、餌資源となる動物プランクトンなど、多岐にわたります。

研究紹介動画

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