教員と研究テーマ

佐藤 杏子 助教

植物の細胞分類学的・細胞遺伝学的研究

染色体の数・形・行動を手がかりに,植物の種分化過程と生殖様式の解明を目的とした細胞分類学的研究に取り組んでいます。

当研究室では,身近な野生植物や薬用植物を対象に,細胞内にある染色体(遺伝子の集合体)の数・形・行動を手がかりに,植物の種分化の過程と生殖様式を解明することで,「種(しゅ)とは何か」を研究しています。

 染色体の観察を通じて,有用植物の効果的な活用方法の検討や生物多様性保全に向けた取り組みに貢献することを目指しています。

  • シロバナサクラタデ
  • クララ
  • イモカタバミ

野外で植物を観察してみると,近縁な植物(群)との境界があいまいで,分類学的位置が“よくわからない植物(群)”が存在することに気がつきます。

    その原因として考えられるのは
  • ・ 種内変異の十分な検討なしに「種」として記載されている
  • ・ 倍数性複合体である
  • ・ 同胞種が存在している
  • ・ 実際には2種であり,中間型を示す雑種が存在している
  • ・ 形態的不連続性が不明瞭である
  • などです。

このような分類学的再検討が必要な「分類学的問題」を解決へと導く方法のひとつに,染色体の観察があります。

体細胞分裂中期像の例

種分化において最も重要なのは,種間の生殖的隔離の発達であると考えられています。

特に染色体突然変異(倍数化や染色体構造変化)に基づく生殖的隔離の有無は,生物進化の基礎をなす変異性の原因として重視されています。

生殖的隔離を間接的に知る方法は様々ありますが,染色体突然変異に起因する生殖的隔離は,染色体の直接観察以外の方法での把握は不可能です。

当研究室では,分類上の混乱を解決するため・種分化のしくみを明らかにするためのツールとして染色体観察を行っています。

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