スーパーカミオカンデが超新星背景ニュートリノの兆候を捉える― 宇宙の歴史に刻まれた「かすかなささやき」の手がかり ―

2026年6月26日

本研究成果は、2026年6月25日にアメリカ・カリフォルニア大学アーバイン校で開催されたNEUTRINO国際会議2026において発表されました。

概要

 スーパーカミオカンデ(Super-Kamiokande)国際共同研究グループ*1は、純水運転期間(2008年~2020年のうち3349日)とガドリニウム*2導入期間(2020年~現在のうち1653日)を合わせた約5000日分の観測データの詳細解析により、超新星背景ニュートリノ(Diffuse Supernova Neutrino Background, DSNB)*3の兆候(2.6σ、99.5%信頼水準)を世界で初めて捉えました。超新星背景ニュートリノは、宇宙の歴史上すべての重力崩壊型超新星爆発*4に由来するニュートリノの総和であり、その直接検出はスーパーカミオカンデ計画開始時からの長年の目標でした。本成果は、宇宙の星形成の歴史や元素合成の理解を深める重要な手がかりをつかんだと言えます。

*1 スーパーカミオカンデ
スーパーカミオカンデは、1996年4月に観測を開始した世界最大の地下ニュートリノ観測装置です。岐阜県飛騨市神岡町の地下1000mに設置されており、ニュートリノの観測研究や陽子崩壊現象の探索などを行っています。スーパーカミオカンデ国際共同研究グループは、東京大学宇宙線研究所を実施責任機関とし、日本、アメリカ、韓国、中国、ポーランド、スペイン、カナダ、イギリス、イタリア、フランス、ベトナムの約60の大学や研究機関から約250名が参加する国際共同研究です。

*2 ガドリニウム
ガドリニウム(Gd)は原子番号64の元素であり、希土類元素(レアアース)の一種です。ガドリニウムは、全元素のなかで中性子を捕獲する能力が非常に高い元素です。そのため、スーパーカミオカンデの水に加えると、超新星爆発ニュートリノのうち、反電子ニュートリノが水と反応した時に生じる中性子をガドリニウムが捕獲して新たな信号が出るため、他のノイズ事象と区別できるようになります。2020年と2022年にスーパーカミオカンデの水にガドリニウムを加え、データ取得を続けていました。

ガドリニウムを加えることにより、反電子ニュートリノからの信号を区別して検出できるようになります。

*3 超新星背景ニュートリノ(Diffuse Supernova Neutrino Background, DSNB)
宇宙全体では、毎秒数回の頻度で超新星爆発が起きており、宇宙が生まれてから現在まで、超新星爆発から放出されたニュートリノは宇宙に拡散され、蓄積されることになります。そのニュートリノを「超新星背景ニュートリノ」と呼びます。

*4 重力崩壊型超新星爆発
太陽の約8倍以上の重い星が寿命の終わりに起こす大爆発です。核融合が止まると重力で中心が急激に潰れ、超高密度の中性子星やブラックホールが生まれます。その反動で外側の層が吹き飛び、宇宙に大量の物質とエネルギーを放出します。これにより重い元素も作られ、宇宙の進化に重要な役割を果たします。

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連絡先

富山大学理学部 物理学プログラム 助教 中野佑樹
(ynakano--at--sci.u-toyama.ac.jp)

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