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分散微粒子抽出法(8)-海水に適応可能なオンサイトCOD画像測色法の開発-
2021年9月22日(水)~24日(金) にオンライン開催された日本分析化学会第70年会において、発表数974件の中から、理工学教育部 生物圏環境科学専攻 修士課程の川畑美佳さんが若手ポスター発表賞を受賞しました。
受賞者
川畑美佳さん(理工学教育部 生物圏環境科学専攻 修士課程 (環境化学計測1研究室) 2年)
題目
分散微粒子抽出法(8)-海水に適応可能なオンサイトCOD画像測色法の開発-
研究業績成果の概要
水の成分を測定する方法には、公定法や機器を用いて調べる方法がありますが、操作が複雑でコストがかかるなどの問題点があります。私達の研究室では、誰でも簡単に、野外調査などの現場で環境汚染の実態を評価できる、簡易分析法の開発を研究しています。
当研究室で特許出願している発明「分散微粒子抽出/簡易比色法」は、小さな容器に採水して振り混ぜるだけで以下に挙げるような特長を持った簡易分析を可能にする技術です。
- 高感度・・・より低濃度まで測定出来る
- 高精度・・・より正確に、再現性のある測定が出来る
- 微粒子によって選択性が向上・・・水に含まれる着色成分の影響を受けにくい
- 少量(1ml)試料で測定可能・・・試薬量や廃棄物量の削減につながる
現在、私達は本技術を様々な環境成分に適用し、汎用性の高い新しい方法を数多く提案しています。 その中で、私は化学的酸素要求量(COD)測定への応用に取り組んでいます。これまでの海水のCOD測定法では、塩素の妨害を除くために高価な硝酸銀を添加する必要があったため、分析コストが高いという問題点がありました。しかし、分散微粒子抽出法を応用した本法を使えば、より簡単かつ低コストに、様々な環境水(淡水・汽水・海水)のCODを測定することができます。実際に環境水を測定し、公定法との相関性を確認し、本法の有用性を示すことができました。
受賞報告と研究者コメント
この研究成果を日本分析化学会第70年会(2021年9月開催)において報告したところ、若手ポスター発表賞をいただくことができました。全国の大学からの数ある発表の中から選ばれ、とても嬉しく思っております。この研究テーマは、開発段階で上手くいかないことも多く、創意工夫を凝らしながら取り組んできました。なので、今回の受賞はとても励みになりましたし、新たな分析法の確立に向けてより一層頑張っていこうと気を引き締めることができました。ご指導くださいました先生方や先輩に心から感謝しています。研究室のみんなも夜遅くまで実験や練習発表に付き合ってくれて、本当にありがとうございました!
研究風景