研究トピックス TOPICS
- ホーム
- 研究トピックス一覧
- 数学科の研究トピックス一覧
- 研究トピックス
カテゴリー
直線が織りなす曲面
【数学科】古田 高士
今回は直線によって作られる曲面をいくつか紹介します.
直線が動いてできる曲面は線織面と呼ばれます.平面,円柱,円錐は線織面の典型例です.
円錐は傘の形ですが,次図のWhitneyの傘も直線から作られる線織面です.
金沢駅鼓門の柱は,次図の一葉双曲面を線織面と見たものであり,2通りの直線の動かし方があります.3枚目の画像は2つを重ねたものです.
次図の双曲的放物面も線織面として2通りの動かし方があり,重ねると3枚目の画像になります.
線織面であって,極小曲面(すなわち,面積が極小の曲面)であるものは,らせん階段のような次図の常螺旋面です.
有名なメビウスの帯も直線を動かして作られる線織面です.その縁はぐるっと回って元の位置に戻ります.
次図は曲線の各点での接線を集めて作られる接線曲面で,直線として接線を動かしてできる線織面です.曲線がらせんの場合を描きました.
また,直線の代わりに円を動かして作られる次図の円柱とドーナツは(中心線の長さが等しく,中身が詰まっているものとして),体積が同じです.
実は,円の中心の描く曲線を多少曲げても,曲がり方が急激でなければ,どれも同じ体積になることが証明されています(ホテリングの定理).
- 【参考文献】
- [1] A. Gray, E. Abbena and S. Salamon, Modern Differential Geometry of Curves and Surfaces with MATHEMATICA, Third Edition, Chapman & Hall/CRC, 2006.