教員と研究テーマ

進化分子工学、核酸生化学、合成生物学

研究について
生命を構成する主要な分子である核酸やタンパク質は、人工物が及びもつかない精妙な機能を有しており、さらにその機能は驚くほど多様です。そのような極めて高度かつ多彩な機能は、神様が創ったものではなく、自然界の中で自発的に進化してきたと考えられています。どのようにしてこのような進化が可能であったのか、その原理を知ることは、人工的に新たな分子やシステムを創る際の強力な指針となり、果てには「生命とは何か?」という問いに何らかの解答を与えてくれるかもしれません。私は、生命が例外なく細胞であることにその鍵があるのではないかと考え、生命を模倣した系を人工的に構築し解析を行う「構成的な」アプローチに基づき、人工細胞様構造の中で生体高分子、特にRNAを進化させる実験研究を行っています。

教員からのメッセージ
理学の学問は、数学・物理学・化学・生物学・地学などの各分野に区分されますが、最先端の「おもしろい」研究領域は、それぞれの分野の境界に位置することが多いと感じています。「生命とは何か?」というような大きな問題を理解するためには、それら各分野の知見を網羅し、組み合わせることが必要でしょう。すなわち、自分の専門分野だけではなく、他の領域にも関心をもち理解できる人材がこれからますます必要とされると考えています。実は、生命の進化を理解することは、純粋な基礎学問としてだけではなく、産業・医療・環境といった応用分野とも密接に関連しています。そのような根源的な命題を学生の皆さんと一緒に研究することで、「多角的な」ものの見方を身につけてもらう手助けができればと考えています。