教員と研究テーマ

桑井 智彦 教授

化合物などにおける極低温熱電、熱特性

極低温領域における強相関電子系の熱電・熱特性の実験的研究を行っています。

フラックス法により育成されたNdCr2Al20単結晶試料

 極低温、高磁場、高圧力の複合極端条件下においてf電子を有する希土類元素を含む磁性化合物が示す量子効果を輸送・熱物性測定を中心とした実験的手法により研究している。とくに、f電子系強相関伝導系が量子臨界点 (QCP)において示す非フェルミ液体的異常をはじめとした磁気揺動と磁性消失、PrやNd,Sm化合物が持つ多極子に由来する極低温領域の異常物性に興味を持ち研究を行っている。

極低温量子科学施設

これら研究を行うためにフラックス法を用いたRT2Al20 (R:希土類元素,T:遷移金属元素)化合物単結晶の育成や独自の手法による良質多結晶試料の作製をはじめ、装置・測定系の製作にも力を入れており、準断熱法を用いた0.1Kから室温に至る広い温度範囲の磁場中比熱精密測定系や3Heクライオスタットを用いた圧力下比熱測定系、希釈冷凍機を用いた0.1 Kに至る極低温領域での磁気熱量効果測定系,熱電能 (ゼーベック係数)と熱伝導測定系を立ち上げ、最近では物理特性測定システムPPMSに搭載できる簡便型の磁気断熱消磁冷凍機を用いた準断熱比熱測定系と精密熱電能測定系を構築し、極めて短時間で0.1 Kにいたる極低温の生成と精密物性測定を実現している。0.1 Kから室温に至る広い温度範囲の熱電能測定を行っている研究グループは国内では他になく、この点が当グループの非常に大きな特徴である。

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