数学科高度に抽象化された現代数学は、さらなる抽象化と同時に私たちの身近に新しい題材を求めています。数学科では数理解析と情報数理の2大分野によってこの動向に思い切った対処の仕方をしています。数理解析分野では純粋数学の立場からきめ細かな教育・研究を行い、情報数理分野では時代のニーズに応えて情報科学に関する教育・研究を数学の立場から行っています。数学科で私たちと一緒に学んでみませんか?

カリキュラム

数学科のカリキュラムの特徴は、なにより数学をきちんと学ぶこと、そして、情報関連科目の充実にあります。また、数学・自然科学に関する英語教育にも力を注いでいます。 1年次では、教養教育の各科目の履修が中心となります。更に、専門教育科目として、大学での数学教育の中核をなす「解析学」と「線形代数学」を学びます。これらの科目に対しては、論理的に考える力と計算する力を同時に養うための授業が展開されていて、数学の基礎を身につけることができます。また、「数学序論」では、高校から大学への橋渡しを意図として大学で数学を学んでいくのに必要な知識、技術を習得します。たとえば高校の数学の授業では使われることのなかった表現や記号、そして集合や写像、初歩的な論理学などです。2年次以降は、専門教育科目が開講されます。2年次には、1年次の内容を踏まえてより発展した内容を学び、3年次には高度な現代数学の研究に向けた授業が展開されます。4年次では、それまでに学んだ数学の総仕上げとして、「卒業研究」を行います。数学の専門書を英語で読む技術、理解したことを論理的に伝える技術、議論する技術を身につけながら研究を進めていきます。 数学科では、豊富な純粋数学の授業に加え、情報関連科目を充実させています。1年次では、教養教育の「情報処理」があり、大学生活は勿論、社会に出てからも有益なITリテラシーを身につけます。2年次以降、情報科学関連科目が理論・実習ともに開講され、3、4年次での専門的な講義に発展していきます。 英語教育についても、教養教育の英語の授業の他、3年次では、自然科学の様々な話題に英語で親しむ「科学英語」の授業があり、4年次の卒業研究にスムーズに移行できるようになっています。

分野紹介

【数理解析分野】Mathematical Analysis

数理解析分野では、幾何学、代数学、解析学などを中心に純粋数学の立場から教育・研究を行っています。ここでの教育目標は、学生に純粋数学の世界の一端に触れ、抽象数学の美しさを味わい、厳密な理論の構成の仕方を身につけてもらうことです。
数理解析分野では次のような研究が行われています。

  • 空間図形の性質、曲線や曲面の概念を一般化した多様体などを調べる幾何学(抽象的幾何学構造を見る数学的直観力の強化にコンピュータは役立つか?)
  • 複素関数(複素数に対して複素数を対応させる関数)の性質を調べる複素関数論(華麗な姿を見せるフラクタルもこの理論に属しています)。
  • 数の概念を拡張して種々の視点から数の性質を調べる数論(ネット間での情報のやり取りを保証する暗号・認証にも使われます)。
  • 足し算や掛け算などの演算の性質を調べる代数学(歴史の古いこの分野の理論には美しさがあります)。
板書による授業
数学図書室

【情報数理分野】Mathematical Science of Information

この分野は、数理現象の数学的解析とその手法の開拓という視点を持つ教員によって構成されています。コンピュータ等を用い、数学的手法を駆使して数理現象を解析する能力を習得することがこの分野の教育目標です。
情報数理分野では、次のような研究が行われています。

  • 微分方程式の解の性質を研究する微分方程式論(微分方程式はさまざまな現象を記述する数学の言語です)。
  • 数理現象のモデル化とモデル方程式の数学的・数値的解析(現状では数値的にしか解けない複雑な現象も扱います)。
  • 偶然性に支配される現象を解析する確率論(近年のファイナンス理論の進展に確率論は大きく寄与しています)。
  • コンピュータを使った「群」「環」「体」などの代数系の構造を調べる研究(とくに量子代数と呼ばれる近年に発見された新しい代数系の研究をコンピュータによるグレブナー法で解析します)。
コンピュータを使った授業
修士論文発表会

学生メッセージ

数学科3年

数学科・数学プログラムは根気強く数学と向き合える人、数学が大好きな人、論理的思考力を養いたい人におすすめです。理由としては、大学での数学は高校までの数学と違い、数学の本質を学ぶことを主としているからです。そのため、高校の時よりも論理的思考力が多くの場面で要求されます。私は高校の時と比べて、内容がすぐに理解できないことが増え、はじめは教科書を読むにも時間がかかってしまいました。しかし、自分でじっくりと考え、友達と講義の内容について話し合う機会を作り、やっと理解できたときはとても爽快でした。最初は行き詰まってしまうと思いますが、数学科・数学プログラムには数学を求めてきた仲間がたくさんいます。友達や先生と話し合い、新たな考えや発見を見つけましょう。また学生生活では、数学や一般教養の勉強以外にも様々なことを学んでいくことができます。例えば、部活やサークル、バイトや趣味など、皆たくさんのことに挑戦しています。皆さんも大学で多くのことを学び、自分の可能性や考えを拡げてください。

数学科3年

この方程式に解は存在するのか、どんな関数が積分可能なのか、近い・遠い・つながっているとはどういうことなのか。このような問いに対して厳密な議論を重ねるのが大学の数学科・数学プログラムという場だと思います。大学数学が高校数学と違って証明が多いと言われるのはこのためです。高校では平均値の定理やロピタルの定理など何かの問題を解くために使っていた定理を数学科・数学プログラムでは証明することになります。
僕にとって、大学の数学は哲学と言ってもよいものです。哲学(philosophy)の語源は、ギリシャ語で「愛」と「知」を意味する言葉を合わせたphilosophiaという言葉であり、哲学とは知を愛することです。数学が好きで興味があるが数学科・数学プログラムでやっていけるか不安な人もいるかもしれません。確かに難しい計算や証明を難なくできることに越したことないでしょう。しかしながら、数学を知りたい、より深く学びたいという気持ちもそれと同じぐらい大事な素質なのではないかと思います。数学が好きだという人は数学科・数学プログラムへの進学を考えてみてはいかがでしょうか。

大学院理工学研究科 数理情報学プログラム修士課程1年

私は、中学生の頃より数学にとても強い興味を持ち、より深く数学を学びたいと思い富山大学理学部数学科に進学しました。数理情報学プログラムでも数学プログラムと同様に、数学の基礎となる微分積分学や線形代数学等を始めとする様々な分野を深く厳密に学ぶことができます。大学の数学の授業では、高校で学んだ数学の再定義、厳密な議論を通した定理や命題の証明を行います。これは、初めのうちはとても根気のいる作業ですが、大学数学を学ぶ過程で必要となる高度な論理的思考力を鍛えることができます。また、数理情報学プログラムでは,社会現象や自然現象をはじめとする現実の具体的な問題を、数学の知識を用いてモデル化し解析する方法論も学ぶことができます。現在流行りのプログラミングや機械学習などの分野を学びたい方にもお勧めです。数理情報学プログラムは、将来的に数学を幅広い分野に活かせる環境だと感じます。授業や研究で分からない事があっても、一生懸命自分で考えたり、友達と議論をしたり、先生や先輩方から丁寧な助言をいただくことで、少しずつ力がつくので心配ありません。数学が好きな人で数学を使って何かを成し遂げたい人は是非数理情報学プログラムにいらしてください。

TOPICS

教員と研究テーマ

上田 肇一教授

自己組織化現象、機械学習、コンピュータシミュレーションなど応用数学に関連した研究をしています。

菊池 万里教授

Lorentz空間などに代表される再配列不変空間におけるマルチンゲールの理論を研究しています。

古田 高士教授

多様体上の幾何学、特に等質空間などを研究しています。

永井 節夫教授

空間の中に、どのような曲面がどのように入っているかを微分積分学を用いて調べる、部分多様体論という分野の研究をしています。

藤田 景子教授

解析汎関数論、解析関数の積分公式とその応用について研究しています。

藤田 安啓教授

Hamilton-Jacobi方程式と病的函数の間の対応構造について研究しています。

山根 宏之教授

スーパーリー代数や量子群をコクセター半群の理論を整備しながら研究しています。

秋山 正和准教授

数学を用いて、生物学、医学、脳科学、物質科学を橋渡しするような融合研究を目指します。

川部 達哉准教授

多様体への不連続な群作用や、それらの空間形の幾何学について研究しています。

木村 巌准教授

代数体の岩澤理論、有限体上の代数関数体の数論、および計算機数論を研究しています。

出口 英生准教授

コロンボの一般関数の理論を用いた偏微分方程式の研究を行っています。

幸山 直人助教

計算機と保型形式論を用いた符号理論及び格子理論の数理構造を研究しています。

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