反応物性化学と合成有機化学の2つの目で、最先端化学に挑んでいます。物理化学的、構造化学的、無機化学的、有機化学的、あるいは生化学的な手法を駆使して物質を原子・分子レベルで解き明かし、その成果をもとに、新素材や機能性物質などの設計や開発、資源エネルギーの転換など、未来を先取りする最先端化学を探求しています。

カリキュラム

化学は物質が繰り広げる現象や反応を広く取り扱う学問で、これはまた、物質にいろいろな刺激を与えその応答を見ることと言い換えることも出来ます。従って、化学は純粋に科学的興味に基づくものから、その応用まで多岐にわたっています。
化学科では反応物性化学と合成有機化学の二大分野を設け、化学に関する高度で幅広い知識と技術を習得するとともに、探求心及び独創性を養うことによって、高度産業社会に対応できる優れた能力ある人材を育成することを目指しています。
大学院では上記二分野に水素同位体科学研究センターが加わります。センターは水素エネルギーのさまざまな利用にチャレンジしています。化学科とも教育・研究を通じ、密接に協力しています。

授業内容
1年生/基礎物理化学・化学熱力学Ⅰ・量子化学Ⅰ・有機化学Ⅰ-Ⅱ・基礎化学セミナー
2年生/化学熱力学Ⅱ・量子化学Ⅱ・化学反応学・無機化学Ⅰ・プログラミング実習・有機化学Ⅲ-Ⅵ・生物化学Ⅰ・水環境化学・環境化学計測・化学実験
3年生/無機化学Ⅱ・化学平衡学・触媒化学・分子分光学・分子物性学・溶液化学・材料科学・電気化学・物理化学実験・無機分析化学実験・生物化学Ⅱ・機器分析化学・合成有機化学・高分子化学・有機化学実験・科学英語・科学コミュニケーションⅠ-Ⅱ
4年生/卒業論文

2年前期の時間割例
 
1 化学反応学 環境化学計測 量子化学Ⅰ 生物学概論Ⅰ 地球科学概論Ⅰ
2 化学熱力学Ⅱ   有機化学Ⅲ 有機化学Ⅳ 無機化学Ⅰ
3       環境科学概論  
4     基礎生物学
実験
微分積分学Ⅰ  
5        

講義時間:1限(8:45~10:15)、2限(10:30~12:00)、3限(13:00~14:30)、4限(14:45~16:15)、5限(16:30~18:00)
は化学科専門科目です。
1年間又は1学期に履修科目として登録できる単位数には上限があります。

分野紹介

反応物性化学分野 Inorganic and Physical Chemistry

第二研究室(光化学)

分光法や計算化学の方法を用いて電子励起状態の性質や反応に関する研究を行っています。最近、新しい発光素子や光-電気変換素子として有機-無機複合分子が注目されています。このような分子の励起状態についての基礎研究は、光機能メカニズムの解明や新規分子設計などの応用研究へと発展できます。

第三研究室(無機・分析化学)

溶液に強いレーザーパルスを照射することによって、極端に平衡状態から離れた「強度非平衡状態」を作り出すことができます。このような極限状態を、溶液化学やレーザー光化学、散乱理論、顕微観察などの手法を用いて明らかにしようとしています。医学・薬学・光学的応用についても検討しています。

第四研究室(錯体化学)

新しい構造・物性・反応性を持つ金属錯体の合成を行っています。金属イオンは配位子と組合せることにより、様々な構造や 性質を持つ錯体となります。現在は、発光性を示す錯体と刺激に応答して構造や性質を変化させる錯体の合成に加え、二酸化炭素・酸素・窒素 などの小分子を活性化する錯体の開発を進めています。

フェムト秒レーザー分光測定
フォトニック結晶の作製
発光性錯体の合成

合成有機化学分野 Synthetic Organic Chemistry

第一研究室(有機化学)

自然界に存在しない有機化合物や有機金属化合物をあらたに設計・合成し、それらがもつ興味深い性質や機能、構造、反応性について実験と理論の両面から調べています。とくに、外部刺激に応答する化合物、半導体材料やアモルファス、ホウ素を含有する機能性化合物について研究しています。

第二研究室(天然物化学)

自然界には多くの生物活性有機化合物が存在しています。それらの多くは不斉炭素をたくさん持つ複雑な構造をしています。第二研究室では、このような複雑な構造を持つ有機化合物の合成を可能とする有用な反応の開発を行っています。また、その応用として、生物活性天然物の合成を行っています。

第三研究室(生化学)

RNAはDNA類似の遺伝子分子として、また蛋白質に匹敵する生体触媒分子として、生命活動で多彩な役割を担う生体高分子です。RNAは化学と生命科学を跨ぐ基礎研究の対象と同時に、医療や創薬への応用からも高い注目を集めています。私たちは生化学解析と人工創製を通じRNAの多彩な機能の秘密と可能性を探求しています。

機能性化合物の合成
天然物の合成
遺伝子工学によるRNA合成

学生メッセージ

化学科4年

みなさんは「化学」と聞いて何を思い浮かべますか?高校の授業で習う「理論・無機・有機化学」? 「錬金術」? それとも「お薬」?色々ありますよね。個人的には物質を扱うものすべてが「化学」だと思います。
多数の反応を組み合わせて天然物を合成したり、光を用いて化学反応の追跡をしたり、はたまたRNAに新しい機能を持たせたりとその人の興味次第で様々なことが可能です。
ただし、現状では全ての物質、全ての反応を意のままに操ることができません。それを可能にするためには、まず「化学」を知る必要があります。
ここ化学科・化学プログラムでは、1,2年生で一般教養や理系科目の基礎、3年生でより専門的な内容を学び、実習を通してそれらを身に着けていくことができます。4年生になると、いよいよ自分の興味の赴くままに「未知」を「既知」にしていきます。
ぜひ富山大学の化学科・化学プログラムで、自分の興味のある「化学」を楽しみませんか?

化学科4年

化学という学問は、数学、物理学、生物学、地学とも関連が深く、研究対象も広範囲にわたっています。そのため、化学科・化学プログラムは1つの学問では満足できない、好奇心旺盛な人にはぴったりだと思います。
4年生になると研究室に配属されますが、各研究室では有機分子、金属錯体、無機材料、生体分子などの様々な物質を扱っています。これらの合成に関する研究はもちろんですが、物理学に近い光物性の研究や、生命現象に関連する研究、さらには資源・エネルギー問題に結びつく研究など、研究対象は非常に多岐にわたっています。
「いろんな分野のことを学びたい」、「座学も研究もどちらも妥協したくない」と考えている人は、富山大学の理学科を受験し、化学科・化学プログラムを目指してみてはいかがでしょうか?

TOPICS

教員と研究テーマ

井川 善也教授

核酸高分子RNAが高度な生体機能を発現する分子機構の解明と、その機構を設計指針とした新規なRNAの構造と機能の人工創製に関して研究を行っています。

柘植 清志教授

発光性を示す錯体、および、外部刺激に応答する錯体の合成と性質について研究しています。

野﨑 浩一教授

光機能性物質の光物性や電子・エネルギー移動、構造緩和ダイナミクスなどを研究しています。

林 直人教授

結晶やアモルファス状態における有機化合物の構造、物性、機能、及び反応性に関する研究を行っています。

大津 英揮准教授

金属錯体による光エネルギーを利用したユビキタス小分子の物質変換反応・メカニズムについて研究を行っています。

鈴木 炎准教授

リポソーム、ナノシェルなど、溶液中の分子集合体の反応性を、赤外パルスレーザーを用いて研究しています。

宮澤 眞宏准教授

均一系錯体触媒を用いた新規不斉反応の開発と高度に官能基化された天然物の立体選択的合成を行っています。

岩村 宗高講師

光エネルギー変換に関わる金属錯体の光励起ダイナミクスについて研究しています。

西 弘泰講師

ナノメートルサイズの微粒子・微細構造の作製方法や、それらの電気化学的・光電気化学的特性に関する研究を行っています。

松村 茂祥講師

マイクロ流体システムによる微小液滴操作技術の開発と、それを人工細胞様構造として用いて、内部でRNAを進化させる研究を行っています。

横山 初講師

SDGsを目標とした、生命現象に関連した生理活性天然物の全合成とそれを可能とする新規反応・手法の開発、さらにその天然物を基盤としたケミカルバイオロジー研究を行っています。

吉野 惇郎助教

元素の特性を生かした機能性有機分子の合成、構造および物性に関する研究を行っています。

TOP