研究紹介

当研究室では下記の3つのテーマについて研究を行っています。

星間分子のマイクロ波分光

宇宙空間には比較的高密度な星間ガスが存在する星間雲と呼ばれる領域があり、 そこから放射される電磁波にはその星間ガスの放射スペクトルが現れます。 そのスペクトルに含まれる無数の共鳴線のうち、その放射源となる分子の同定がなされていないものが多数存在します。

当研究室ではマイクロ波・ミリ波領域(数GHz~数百GHz)において、そのような星間分子の実験室分光を行い、 星間雲からの放射の共鳴線の同定に役立てています。 特に次のような内部回転のある分子に興味を持っています。

  • ギ酸メチル ( methyl formate ; HCOOCH3 )
  • エチルメチルエーテル ( ethyl methyl ether ; CH3CH22OCH3 )
  • メタノール ( methyl alcohol ; CH3OH )
  • ジメチルエーテル ( dimethyl ether ; (CH3)2O )

国立天文台野辺山45 m電波望遠鏡による観測や、南米チリにある大型電波望遠鏡ALMAのデータへの応用なども行っています。

マイクロ波を用いた低温極性分子ビームの集束・減速・捕捉

レーザー冷却技術の確立により、現在では希薄原子気体を真空中にトラップし、 ナノケルビン以下の極低温まで冷却することが可能になり、 超流動状態の研究や高精度原子時計の開発が行われてきました。 しかし、分子についてはレーザー冷却技術を適用することが困難であり、 分子を用いて同様の研究を行うためには、別の技術を開発しなければなりません。

当研究室では、超伝導空洞共振器などで増強したマイクロ波を用いて、 分子ビームを集束・減速する研究や、真空中に捕捉する研究を行っています。 例えば、共振器中のマイクロ波の定在波を時間的に変化させることで、 共振器中の分子が感じるポテンシャルを操作し、分子を減速することが可能です。

我々の手法は従来の静電場を用いる手法に比べ、回転基底状態などの、 電場が強い所ほどエネルギーが低くなる状態の制御に優れています。 このような低温分子ビームの並進運動の制御方法は、分子を用いた精密測定による、 素粒子論的・宇宙論的効果の検証を行うための基盤技術になります。

トリチウム水の近赤外分光

トリチウム(三重水素)は質量数が3の水素の放射性同位体です。 自然界に発生したトリチウムは速やかに水に取り込まれてトリチウム水になるといわれています。 トリチウム水はトリチウムよりも1万倍人体への影響が大きいといわれています。 このような放射性物質の検出には強い関心がもたれています。 放射性を活かした検出手法以外の検出手法も持つことは非常に重要です。 当研究室では、そのひとつとして近赤外分光法による検出を行うために、 基礎データを収集し、さらにトリチウム水の化学反応の解明を進めようとしています。 富山大学水素同位体科学研究センターと連携して、放射性物質を利用できる 管理区域で慎重に実験を行っています。

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