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卒業生のメッセージ

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平成14年生物学科卒業、平成16年理工学教育部修士課程修了、
平成19年理工学教育部博士課程修了

今野 紀文

富山大学大学院理工学研究部 講師

「観る」を育む大学

 いつも通る通学路で、ふと、「なんか変」と感じたことはないでしょうか?
ふとした時に、アッと感じる直感のようなものです。私は、生きものを観察していると時々そんな感覚をすることがあります。生きものは実に多様な存在です。しかし、そんな中にも共通する同じもの(普遍性)があったり、逆に、一見同じものに見えるけれど、よく観ると別のもの(多様性)であったりします。生物学の分野で最も大事なことは「観る」ことだと言われます。生きものの生きざま(生態・行動)を観る、形を観る(形態)、見えないもの(遺伝子・生理)を観る、時間を観る(進化)。先入観を捨てて、目の前にいる生きものや自然、実験データを「観る」ことでいろんな疑問が湧き出てきます。

 「観る」ことは、生物学だけに限らず、人生の様々な局面でも大切なことだと感じます。例えば、己が進むべき路を選択する時、見かけだけのイメージやたくさんの情報に惑わされず、物事の本質を観て自らの意思で選ぶ。もし、その選択に後悔があったなら、それはちゃんと観れていなかったのではないでしょうか。

 最初に書いた、「なんか変だぞっ」という感覚も、これまで観たり、聴いたりしてきた実体験が無くては感じられないものだと思います。つまり、普段何気なく見ているのではなく、気持ちを込めて、じっくり時間をかけて観ることで、そこに違和感が生まれ、それが新しい発見や価値観を生む。私が「観る」ことの大切さを学べたのは、この富山大学をとりまく素晴らしい“自然環境”と「観る」ことの大切さを教える“人”にあったのではないかと思います。富山大学理学部には、都会の大学では決して身近に観ることのできない高度差4000 m(深海1000 mの富山湾から標高3000 mにもおよぶ立山連峰まで)もの広大なフィールドが拡がり、そこには水、地、空、物質、生命、そして自然真理を探究する気概に溢れた“人”が集っています。私が所属する生物学科でも、富山湾や立山連峰で生きるさまざまな生き物や自然について、臨海実習や野外実習を通して五感で学びます。もちろん、講義や教科書から学ぶ座学は大切です。しかし、自分の手で触れて、眼で観て、耳で聴いて学んだものに勝るものはありません。“物”じゃなく、“利便性”じゃなく、“自然と人”からたくさんのことを学べるこの母校で育まれたことに、私は心より感謝し、誇りを感じています。

 最後に、後輩となる皆さんへ伝えたいことは、好きなことに一生懸命になれる自分を、ぜひ大学生活を通して見つけて下さい。そして、「観る力」を養うことで将来を切り開いていって下さい。私たち、生物学科教員も、皆さんの夢への一歩を心から応援しています。

(2015年3月寄稿)