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  富山大学 > 理学部・大学院理工学教育部理学領域 > トピックス > 2007年5月
トピックス
脳ホルモンによる食欲の脳制御機構の進化を探る!(生物学科)
キンギョの食欲を亢進する脳ホルモン「オレキシン」作動性ニューロン:茶褐色に染色された細胞がオレキシンを持つニューロンを示す 研究概要
 動物にとって摂食行動は、生命の維持と個体の諸活動を支えるエネルギー獲得のため、欠くことのできない最も重要な本能行動です。ラットやマウスにおける最近の知見によれば、食欲は、脳の視床下部で発現する多数の脳ホルモンによって促進的あるいは抑制的に制御されていることが判明してきました。例えば、空腹時には、神経ペプチドY(NPY)、オレキシン(ORX)、メラニン凝集ホルモン(MCH)、グレリンなどの食欲亢進性脳ホルモンを持ったニューロン群が興奮して摂食行動を誘発します。一方、満腹時には、コルチコトロピン放出ホルモン(CRH)、黒色素胞刺激ホルモン( -MSH)、下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド(PACAP)、血管作動性腸ペプチド(VIP)などの食欲抑制性脳ホルモンを含むニューロン群が興奮して、摂食行動を抑制します。また、これらの脳ホルモン作動性ニューロン群は相互作用しながら、食欲を制御・最適化することも判ってきました。ラットやマウスなどのげっ歯類の食欲は、このように多数の脳ホルモンの作用により調節されています。
 一方、ニワトリにおける食欲の脳制御機構は、げっ歯類の機構と一部異なることも見出されています。例えば、ORXとMCHには食欲亢進効果は認められず、また、グレリンは食欲を強く抑制します。しかしながら、食欲の複雑な調節を司る脳内の神経機構の進化の過程における変遷については、全く判っていません。そこで、私たちの研究グループは魚類の摂食制御機構の解明を目指し、生理学的解析が最も進んでいる魚種であるキンギョ(Carassius auratus)を用いて脳ホルモンによる食欲の脳制御機構について研究を進めています。

全自動行動追跡装置(エソビジョン)によるキンギョの行動解析の様子:右側の画像は、4つの円形水槽に1匹ずつ入れたキンギョ(細長い赤い塊部分)とキンギョの行動の軌跡(赤い線分)を示す。左側の表は解析パラメータの一部を示す。この装置によりキンギョの行動を司る脳制御機構の解明を目指した実験を行っています。

より詳細な研究内容はこちらをご覧ください。
(生物学科・松田恒平)
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Last modified 2007.05.01
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