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  富山大学 > 理学部・大学院理工学教育部理学領域 > トピックス > 2007年6月
トピックス
スピロケタール新規合成法の開発と核磁気共鳴装置 (化学科)
 図1の化合物は、中央部分に赤で示されたスピロケタールと呼ばれる2つの6員環エーテルが一つの炭素原子を通して結合している特異な構造を有しています。これらの化合物は、強い抗菌活性や、細胞毒性を有し、抗癌剤の候補として注目されています。また、これらはプロピオン酸という3つの炭素原子を含む有機酸を原料として菌類や海洋産生物などが生合成していますが、その生産量は極微量であり、その量的な供給は化学合成に頼らざるを得ません。我々の研究室では、このスピロケタール構造をパラジウムという金属触媒を用いて効率的に合成する方法を開発しました。我々の開発した方法は、(1)通常の合成法では不活性であるアルコールを直接利用できる (2)副生物が水だけであり非常にクリーンな反応である(環境調和型の反応) (3)単純な原料から一段階で複雑なスピロケタールを一挙に合成できる、等の優れた特徴を有しています。

 ところで、このような複雑な化合物の構造は、どのようにして明らかにされているのでしょうか。通常、いくつかの機器分析測定を行い、そこから得られた情報をもとに決定を行います。特に最近では核磁気共鳴(NMR)スペクトルによってほぼ正確な構造を決定出来るようになっています。この装置は、ほぼ全ての元素を測定することができ、特に水素と炭素に関して非常に詳しい情報が得られます。有機化合物は、その構造のほとんどが炭素と水素からできているのでこの装置を使うことによりどのように炭素と炭素又は炭素と水素が結合しているかが分かり、分子の構造決定ができます。さて、このNMR装置が新しく理学部校舎内に今年導入され(導入母体は生命融合科学教育部)、この4月から本格的な運用が始まりました。現在五福地区には、3台のNMRが可動しており、本機はその中でも最も簡単な操作で測定を行うことができます。例えば、最も頻繁に使われる水素の状態を測定する場合は、ファイル名の入力と、たった3回パソコン上のボタンをクリックするだけで測定ができます。また、なるべく多くのユーザーに開放するため学部学科を問わず、講習会を受講し、かつ操作に関する試験に合格すれば誰でも測定が可能なライセンス制を導入しました。特に有機化合物を取り扱う研究を行っている方で興味のある方はNMR管理担当者に御連絡下さい。

 また、このNMRに関するHPも立ち上げております。御関心をお持ちの方はそちらもご覧下さい。
(化学科 宮澤眞宏)
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Last modified 2007.06.07
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