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  富山大学  理学部・大学院理工学教育部理学領域  トピックス  2007年12月
トピックス
生物進化の鍵? 新しい酵素機能? 〜生体中のバナジウムは何をしているの?〜
 (化学科)
 鉄イオンや銅イオンが生物の体の中で、酸素を運んだり、金属酵素として触媒反応を行ったりして、大事な働きをしていることは、みなさんも良く知っておられると思います。でも、多種多様の生物の中には変わり者がいて、バナジウム(元素記号V)をたくさんため込んでいる生物がいます。その代表が、海産動物のホヤです。ある種のホヤは、その血球細胞中に海水の1000万倍もの濃度のバナジウムを蓄えています。この不思議な現象は、約100年も前に見つけられましたが、当時に比べて科学が格段に進歩した現在でも、ホヤがバナジウムを、どのようにして濃縮しているのか、濃縮したバナジウムを何に使っているのか、など、分かっていない事がたくさんあります。

ホヤ(バナジウムボヤ) ベニテングダケ
 
 ホヤ以外にも、バナジウムをため込んでいる生物がいます。ベニテングダケも、ちょっと変わった構造をしたバナジウム化合物をもっていますが、ホヤと同様、その役割は分かっていません。海の中の褐色や紅色をした藻類は、バナジウムを使って有機物をハロゲン化しています。
 最近、我々人間の中でもバナジウムが大事な働きをしているのではないか、と言われてきました。糖尿病は生活習慣病の中でも患者数が大変多い病気ですが、バナジウム化合物が、血糖値をコントロールするタンパクであるインスリンとよく似た働きをすることがわかり、糖尿病の薬としての開発研究が行われています。また、最近ではバナジウムを含んだ飲料水も売られるようになってきました。

 我々の研究室では、この不思議な金属、バナジウムの化合物の機能や構造を調べるために、特に、ホヤと藻類のバナジウムの構造・機能の解明に焦点を当て、生物の先生や有機化学の先生と共同して、研究を進めています。
(化学科 金森 寛)
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Last modified 2007.12.09
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