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トピックス
日光男体山が活火山の可能性!―山頂火口内調査による7000年前の噴火堆積物の発見―(地球科学科)
最近1万年以内に活動した火山ないし現在活発な噴気活動のある火山を活火山とすることが、気象庁による活火山の 認定基準である。栃木県日光市に位置する中型の成層火山である男体火山(標高2486 m)は、深田久弥の日本百名 山にも選ばれ、その麓にユネスコ世界遺産「日光の寺社」などの多くの観光地をかかえる(写真1)。従来、この火 山は、最後の噴火活動が約1万5千年前とされ、活火山とは認定されていなかった。最近、信州大学理学部の三宅康 幸教授のグループによりこの約1万5千年前の噴火堆積物の上位に火砕流堆積物が発見されたため、最新の噴火時期 については再調査の必要があった。

私と研究室の4年生(当時)岡村裕子は、男体火山の山頂火口内に火口湖堆積物とそれを覆う厚さ数m以上の降下火 砕堆積物(噴火によりいったん大気中へ吹き上げられたマグマの破片が地表に堆積することでできた堆積物)があ ることを新たに発見した(写真2)。この降下火砕堆積物に埋積されていた炭化樹幹について産業技術総合研究所の 及川輝樹研究員とともに放射性炭素年代測定(14C年代測定)を行ったところ、約7千年前の年代値(暦年)が得ら れた。このことにより、男体火山の確認された最後の噴火は、従来の見解よりも約8千年も若いことが判明し、活火 山の認定基準を満たすことが明らかとなった。日光男体山は、山麓に多くの観光地をかかえるため、今回の成果は、 防災上も重要な発見である。この成果は、2008年秋の地質学会秋田大会で「特筆すべき成果発表」としてプレスリ リースされ、朝日新聞、毎日新聞、読売新聞、下野新聞、TBSテレビ、岳人でその概要が紹介された。

今回私たちが男体火山の火口内で発見したような比較的小規模な噴火堆積物は、従来の地質調査では見落とされて いる可能性が高い。そのため、火口近傍での詳しい地質調査を行い(写真3)、従来見落とされがちな小規模な噴火 堆積物を正確に認識することが、火山の噴火史を高分解能で復元するために必要である。

(地球科学科 石ア 泰男)

写真1:西方から見た男体火山


写真2:山頂火口の火口壁に露出する7000年前
の噴火の降下火砕堆積物。矢印はこの堆積物
に埋積された炭化樹幹。崖下の白い部分は雪。


写真3:山頂火口内での地質調査の様子
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Last modified 2009.03.31
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