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シンクロトロン放射光による物性研究

【物理学科】2018年1月

物理学科のナノ物理講座では、ナノ粒子の構造を解析するためにシンクロトロン放射光による分光を行なっている。

シンクロトロン放射光とは

荷電粒子を磁場の中で加速し、その時に放射された光を指す。その加速器は日本国内では例えば立命館大学(SR Center)や広島大学(HiSOR)の小規模のものから、播磨にあるSpring-8の様な周長1436mもある大きなものまである。

 

播磨にある大型放射光施設(SPring-8)

出典:Wikipedia

 

以下の世界地図に記されているように、現在世界中に多くの施設が作られている。

(詳細は http://www.lightsources.org/regions

 

出典:https://www.flickr.com

 

X線分光法への応用

放射光の利用は主にX線に対して行われている。上述した荷電粒子への加速を調整することにより、X線領域のエネルギーの光を放射させることができる。シンクロトロン放射光によるX線は連続したエネルギーで取れるために、伝統的なXRDだけではなく、X線吸収やX線光電子放出も行える。

 

X線吸収スペクトル(XAS)の解析

X線のエネルギーは非常に高く、その吸収の多くは原子核近傍に束縛されている電子の励起によって起こる。その励起エネルギーは量子力学の原理により離散的にその原子の軌道について固有なものとなっている。そのために対象とする物質にどのような原子が含まれているかを確認することができる。また、その原子の化学的環境により吸収端のエネルギー位置がずれる(化学シフト)現象により、その原子の価数を評価できる。このような情報はXPS(X線光電子分光)によってより直接確認できる。

 

X線吸収スペクトル(XAS)

 吸収端近傍の微細構造:X-ray Absorption Near Edge Structures (XANES)

 高エネルギー側のsine振動様の構造:Extended X-ray Absorption Fine Structures (EXAFS)

 

に分けられる。EXAFS信号のフーリエ変換はX線吸収原子から近傍の周囲原子への距離に対応し、主にEXAFSで得られる構造の情報は一次元的な距離の情報のみとなる。そのために、仮にナノ粒子で表面とバルクで構造の変化がない場合、表面原子とバルク原子のスペクトルの違いは配位数による振幅の差のみとなり、現実的には解析によりそれらを区別することができない。一方XANESはX線吸収原始近傍の3次元情報を含む。そのために原子間位置が同じでも、配位数の差による異方性の影響、すなわち対称性の変化はスペクトルにはっきりと現われる。

 

出典:Wikipedia

 

 

本研究室ではXASの理論の開発及び理論プログラムの開発を行っている。プログラムは並列化されており、計算は並列計算によって行われる。これにより実験スペクトルを理論解析し、長距離秩序の無いナノ粒子などの局所構造解析に役立てている。

 

(物理学科 畑田圭介)