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日光男体山が国内111番目の活火山に認定

【地球科学科】2017年8月

  男体山(標高2486m)は、筆者(石崎)の故郷である栃木県の象徴といえる火山であり、その麓にはユネスコ世界遺産「日光の寺社」などの多くの観光地をかかえる(写真1)。2017年6月20日に開催された火山噴火予知連絡会において、男体山が新たに活火山に認定され、国内の活火山の数は111になった。

 

(写真1)

東方から見た男体山

 

 活火山とは、最近10,000年以内に活動した火山ないし現在活発な噴気活動のある火山のことである(気象庁定義)。これまで男体山は、最後の噴火活動が約17,000年前とされ、活火山とは認定されていなかったが、最近の私たちの調査により10,000年前以降の噴火で形成された地層が複数存在することが明らかになった。まず2004年には、石崎と4年生(当時)の岡村裕子により、山頂火口内に厚さ数m以上の降下火砕堆積物(噴火によりいったん大気中へ吹き上げられたマグマの破片が地表に堆積することでできた堆積物)が見出され、この堆積物に埋積されていた炭化樹幹から約7,000前の放射性炭素年代が得られた(写真2)。その後、大学院生(当時)の森田考美、4年生(当時)の小池一馬とともに男体火山の北東麓において火山灰の分布調査を継続し、7,000前の火山灰層のほかに、7,500年前、8,000年前、12,000年前、14,000年前の噴火で形成された火山灰層を新たに確認し、男体山が7,000年前まで頻繁に噴火を起こしていたことが明らかになった。これらの調査結果により、男体火山の最後の噴火が従来の見解よりも約8,000年も若く、「過去10,000年以内に噴火した」という活火山の定義を満たすこととなった。活火山認定の報は、朝日新聞、毎日新聞、読売新聞、日本経済新聞、下野新聞、NHKテレビ、TBSテレビ、日本テレビ等で伝えられた。

 

(写真2)

7000年前の噴火の堆積物と埋積された炭化樹幹

 

 現在の男体火山は、極めて静穏な状態を保っており、火山活動が活発化する兆候は見られない。また、最近10,000年間に起きた噴火はいずれも小規模な水蒸気噴火もしくはマグマ水蒸気噴火であり、同規模の噴火が現在起きたとしても、日光市街にはわずかな降灰しかもたらさないと予想される。男体山が活火山に認定されたことにより、今後は、気象庁による定期的な調査・観測が行われることになる。そのため、再噴火の兆候が表れたときには、国民へ様々な情報が速やかに提供されることになるだろう。

 

(地球科学科 石﨑 泰男)