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マイクロ波分光周波数データベース(略称ToyaMA)

【物理学科】2010年08月

 宇宙にある分子の存在はどうやって調べるのか疑問に思ったことはないでしょうか?その一つの手法として宇宙から来る電波(マイクロ波)を調べる方法があります。宇宙にある分子の回転に由来する電波をパラボラアンテナ受信し、どんな周波数の電波が来ているか調べるわけです。電波はラジオ、テレビ、携帯電話、電波時計、電子レンジなど身近な存在ですが、見えないので意識することは少ないかもしれません。電子レンジで食べ物を温めることができるのは食べ物が電波のエネルギーを吸収するからです。分子も同じように電波を吸収しますが、分子ごとに吸収する電波の周波数が違います。ラジオにたとえると、ラジオの受信周波数を変えると別の局が受信できますが、各々のラジオ局がひとつひとつの分子で、分子の吸収する周波数がラジオ周波数にあたります。


 富山大学にはこの分子の特有の周波数を調べる研究の長い歴史があります。ラジオがひとつの周波数だけでいいのに対して、分子は実際には様々な周波数の電波を吸収しますので、照射する電波(源)を色々な周波数に変えてみる必要がありますので、電波源の開発を行い、電波の周波数を変えて分子の吸収の様子を調べています(これを分光といいます)。研究によって得られた分子の周波数と宇宙から来る電波の周波数を比べてみて、どんな分子がいるかということがわかります。その他にも強度のデータなどから宇宙にどのような分子がどこにどのような環境で存在し、どのように変化しているのかといったことを解明する重要なツールになります。過去のトピックス(2007年4月掲載)でも、オリオンにギ酸メチル分子が特殊な状態で存在していることを紹介しています。


 実験室から得られたマイクロ波周波数データToyama Microwave Atlas for spectroscopists and astronomers(ToyaMA)を周波数検索できるようにして世界の天文や分光の研究者が使えるように2007年からオンライン公開しています。(ToyaMAはこちら)南米チリの標高約5000メートルにあるアタカマ砂漠に日米欧の協力で2012年の本格運用を目指してALMA(ALMA 日本のホームページはこちら)と呼ばれる高感度・高分解能な電波望遠鏡が建設中であり、このような分子の研究はさらなる発展が期待されます。宇宙空間にはこれまでに140種類以上の分子がみつかっていますが、この140種類という数字は地球に存在する分子の数から考えると非常に少なく、まだこれからも色々な分子が見つかることが予想されます。生命につながるような分子の発見にも関心が持たれています。ToyaMAもその一助となることを願っています。


アルマ完成予想図
Credit: ALMA(ESO/NAOJ/NRAO)

(物理学科 小林かおり)