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地球の中の水をさぐる

【地球科学科】2012年8月

 地球は“水の惑星”と呼ばれています.太陽系の中で表面に液体の水が存在している惑星は地球だけです.水が生命にとって不可欠であることは言うまでもありませんが,岩石からできている固体地球においても水は重要な役割を果たしています.日本ではたくさんの地震が起こり,多くの火山が活動していますが,これらも水がなくては説明できない存在です.

 地球内部の水の起源をたどると海に行きつきます(図1).日本列島の下には東から太平洋プレート,南からフィリピン海プレートが沈み込んでいます.これらのプレートは,数千万年以上もの間,海底に横たわっていました.表層付近の岩石の空隙には水が入り込み,鉱物は水と結びついて含水鉱物に変質しています.プレートが沈み込んでいくと,空隙の水は絞り出され,含水鉱物は脱水反応を起こして水を放出します.このようにして生じた水は,マントルを上昇したのち大陸プレートに侵入します.断層に侵入した水は摩擦を弱め,地震を発生しやすくします.また,昨年の東北地方太平洋沖地震のようなプレート境界地震の発生には,プレート境界に入り込んだ水が関与していると考えられています.水がマントルの高温領域に達する場合は,マントルの融点を下げてマグマを発生させます.これが火山活動を引き起こすのです.


図1 日本列島のような沈み込み帯における水の移動についての概念図

 わたしたちの研究室では,水を含んだ岩石や鉱物の物性を調べています.実験データと観測によって求められる地震波速度や電気伝導度を比較することによって,どこに,どのくらい,どのような状態で水が存在しているかを推定します.最近の蛇紋岩(図2)の研究により,日本列島の下のマントルには,従来考えられていたよりも多くの(といってもせいぜい1%ですが)水が存在することが分かってきました.これは日本列島周辺の地震活動,火山活動を理解する上で重要な貢献になると考えています.


図2 蛇紋岩の顕微鏡写真(横幅は6mm)

(地球科学科 渡邊 了)