English中文簡体字한국어
研究情報

HOME>研究情報>理学部推進プロジェクト

高低差4,000m富山環境プロジェクト

-地球環境縮図モデルを活用した環境科学・技術の推進-

プロジェクトの概要

 富山大学では、理工学研究部および極東地域研究センターの研究者が主体となって、標高3,000mの立山連峰から水深1,000mの富山湾までをコアフィールドに設定し、『地球環境の縮図モデル』と捉えることで、集中的に環境動態・生態系応答・環境修復等の研究をフィールド内に展開するプロジェクトを推進しています。

具体的な4つのサブ課題

1 環境動態モニタリング

高山・深海での環境調査や、海洋・水質・土壌・大気汚染の動態観測の実施。

2 生態系影響評価

富山湾・河川・立山の生態系に及ぼす地球温 暖化や外来生物の影響評価。

3 微生物活用による環境修復技術

・微生物等による環境汚染物質の分解・除去技術の
  開発及び環境修復効果の検証。
・環境負荷低減に有効な工業生産技術の高度化。

4 環境予測シミュレーション技術

物質輸送ならびに環境変化予測の数値シミュレーションの高度化と適用。

プロジェクトの意義

 高山地域、森林・里山地域、平野・沿岸地域、そして深海に至る高低差4000mの自然環境は、豊富な水資源を背景に多種多様な生態系の形成に寄与しています。そこでは、立山連峰を中心とした高山での降雪に始まり、融雪・地下水涵養・河川流出というプロセスを経て豊富なミネラルを含んだ淡水を富山湾に供給し、沿岸部の海洋生態系に影響を与えています。
 一方、富山湾を含む日本海から多量の水蒸気が大気へ供給されて、モンスーン気流による水蒸気輸送によって水蒸気の一部は凝結し山岳域で降雪をもたらします。このような独自の水循環システムは陸上ならびに海洋生態系を育む必要不可欠な働きをしている一方で、局地的あるいは広域的な環境汚染やグローバルな環境変化の影響に晒されています。

 その地域をコアフィールドに設定して、域外からの越境汚染物質がどのようにコアフィールド内の水循環システムに捕捉されてシステム内で移動していくのか、そのプロセスの実態を明らかにすると同時に、環境汚染物質が環境ストレスとして生態系にどのような影響を与え、生態系がどのように応答しているのかを解明します。グローバルな環境変化が地域的な環境汚染と複合して生態系に与える悪影響についても評価を行います。さらに、微生物活用、マイクロ・ナノバブルの広域生成等により環境浄化・環境修復技術の開発・高度化を推進し、その環境技術をコアフィールドに適用することで有効性を検証していきます。このように、高低差4000mという立地条件を生かし、コアフィールドを設定して統合型環境研究を展開している例は国内外をみてもほとんど報告がありません。

 地球環境問題に対処し、環境共生型・循環型社会の構築を目指していくためには、異分野間の研究成果を有機的に連携させていく統合型の環境研究が必要不可欠ですが、地球規模でフィールド研究を実施するためには莫大な研究予算と国際協力が必要とされるため、現実的ではありません。本プロジェクトで設定したコアフィールドを地球環境の縮図モデルと位置づけ、集中的に環境動態・生態系応答・環境修復の研究をフィールド内に展開する手法は独創的なものです。
 得られた研究成果を基に、環境負荷低減を効率よく推進するための工業生産活動への提案・還元を行うとともに、広域の環境変化予測シミュレーション等を活用して他の地域に拡張し、「富山モデル」の適用可能性を実証していくことは、将来の持続可能な循環型社会に向けての重要なモデルケースとなり得る可能性を秘めています。