地球科学科の設備紹介

ここでは,地球科学科で研究や教育に用いられている設備や実験装置の一部を紹介します。地球科学は地球を研究対象としていますので「フィールドワーク」というイメージが強いかもしれませんが,野外での調査や観測とともに,得られた試料の分析や観測結果の解析が欠かせません。また,最近の地球科学では,コンピュータを駆使した地球規模の膨大なデータの解析や数値シミュレーションも非常に重要な研究手法となっています。



■地球観測情報処理システム

気象衛星やGPS衛星等の各種地球観測データの解析や気候モデルの数値
シミュレーションを行う計算機システムで、10数台のUnixおよびLinuxワーク
ステーションで構成されています。
管理者(研究室):地球ダイナミクス講座 川村研究室




■X線マイクロアナライザー

極めて細く絞った電子ビームを岩石試料に照射し、試料から発生する特X線
の種類と強度を測定することで、岩石の微小な領域に含まれる元素の種類
と量を調べます。微小な造岩鉱物の同定や累帯構造の検討などに使用され
ている他、電子顕微鏡として微小な化石などの観察にも用いられます。




■電子スピン共鳴装置

電子スピン共鳴装置はESR測定装置とも呼ばれ、測定しようとする物質中の
不対電子の静磁場やマイクロ波に対する振る舞いから、その物質の状態を
調べる装置です。地球科学における利用方法としてはESR年代測定がありま
す。ある鉱物に含まれる不対電子の数を定量し、総被曝線量(その物質が
どれだけ自然放射線を浴びているか)を見積もることで、その鉱物の生成年
代を決定することができます。当学科では、化石や断層の年代測定に応用
しています。




■エアガン(海底反射法地震探査システム)

地表や海面付近で人工的に発生せさせた振動が、地層境界面で反射して
再び戻ってくるところを捉えることによって地下構造を調べる手法を反射法
地震探査といいます。エアガンは、海上で地震探査を行う際、振動を発生さ
せるために用いられる装置で、空気を瞬時に海中に放出することで音波を
発生させます。エアガンを用いた海底反射法地震探査は石油やメタンハイ
ドレートなどの資源調査にも威力を発揮します。左の写真はエアガン,右
の写真は船上から海中に投じられたストリーマーケーブル(反射波を捉え
るセンサーがついたケーブル)です。




■電磁シールド区画

電磁シールド区画とは,透磁率の高い合金と薄い金属板で囲まれた部屋の
ことで、この部屋の内部では外部の直流磁場と交流磁場がおよそ30分の1
程度にまで遮蔽されます。つまり、この区画の内部では電気的なノイズが低
く無磁場に近い状態が実現されており、海底下の電気的な構造(電気伝導
度構造)を調べるために用いられる海底磁力計の開発・改良やキャリブレー
ションなどに用いられています。




■MPMS磁気特性測定システム

磁気をもつ物体(磁性体)をコイルのそばに置き、物体を運動させると、レン
ツの法則にしたがってコイルに電圧が生じます。MPMS磁力計は、磁束の量
子現象を応用した超伝導量子干渉計素子(SQUID素子)を利用してコイルに
生じる非常に微弱な電圧を検出し、試料の磁化を測定する装置です。この装
置によって岩石や堆積物のもつ微弱な磁化を測定し、地磁気をはじめとする
地球科学のさまざまな研究をおこなっています。




■高圧力発生装置

この装置は圧力容器とポンプから構成されています。ポンプを使って容器に
油(シリコン・オイル)を押し込むことにより、地下約7kmまでの圧力が発生
できます。われわれの研究室では、この装置を使って岩石に圧力を加え、地
下にある状態での岩石の性質(地震波速度など)を調べています。これは地
下の状態を知るための基礎的なデータであり、地震の震源域にはどんな物
質があるのか?といった問題などにも重要な手がかりを与えてくれます。




■低温実験室

低温実験室は4つの区画からなり、マイナス20℃程度までのさまざまな温度に
室温を保った状態で、雪結晶や氷の物理に関する研究をおこなっています。左
の写真は低温実験室内部の様子,右の写真は低温実験室で作られた氷筍(ひょ
うじゅん)です。




■熱サイホン発電装置

熱サイホン式雪発電装置は、対馬・田中研究室が開発を進めている新しい
発電システムです。邪魔者扱いされる雪を冷凍資源として活用し、沸点の
低い液体によって水力発電のようにタービンを回して発電します。高熱源
として地熱を利用することで、クリーンで再生可能な資源による発電となり
ます。これは世界初の発電方式と思われ、寒冷地の北海道や地熱資源の
豊富な九州から注目されています。




■顕微熱画像装置

微小な対象の温度分布を調べることができるサーモグラフィ装置です。成
長する雪結晶の表面温度測定などに用いられています。